法学部を志望した理由
法学部を志望したきっかけは、父親が法律関係の勉強をしていた時期があって、参考書とかが残っていて、小さい時から身近なところに法律が存在していて、中学生くらいの時に、父親が教えてくれて、弁護士・検察官、いわゆる法曹の仕事というものがあると知りました。高2くらいの時に、実際に裁判の傍聴に行って、法曹の方の振舞などを見て、こんな仕事がしたいなあという漠然とした憧れを抱くようになりました。法律家を目指すには、法学部が一番の近道じゃないかと思って、志望しました。
法曹を志望した理由
傍聴した裁判では、心神喪失に陥っていた加害者が親族を凶器で刺してしまったといった刑事事件を扱っていて、動機についての議論が延々となされていて、その経緯を聞いていて怖さを感じました。検察官になりたいというのが勉強を始めるきっかけになっていたので、主に検察官の様子に視線を送って見ていたんですけど、法律を扱う人というだけあってビシッとスーツが決まっていて、持っている資料も難しそうで、立ち居振る舞いや発するひと言ひと言がかっこ良くて、なるほど、資格を取るとこういう仕事ができるんだと感じ、たしかに、ひとの人生を左右する仕事ではあるけど、だからこそ、やりがいがあるのかなというふうに思って興味を持ちました。
司法試験にチャレンジ、合格への道
司法試験にチャレンジしようと決意した時期は、法学部を志望したのと同時です。法曹の仕事に興味はあっても、実際に仕事に就いてみないと自分に合っているかはわからないので、とりあえず、司法試験を取ってみないと始まらないと思って勉強を始めました。大学1年の4月には予備校はどこにしようか探し始め、5月には通っていました。勉強時間は一日平均6~8時間で、直前期には10時間以上と、メリハリをつけてやっていました。試験科目は、基本六法、つまり、憲法、民法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、商法とそのほかに、もう一つ行政法というのが付け加わって、基本7科目が中心です。あとは、実務科目と一般教養科目っていうのもあるんですけど、予備試験も含めて、主に基本7科目を勉強していけば受かるという試験です。勉強のコツは、とにかく反復することと、あとは、アウトプットを欠かさないことだと思います。アウトプットはとても重要で、知識の定着にもなりますし、本番の試験が論文式試験で書く試験なので、タイムマネジメントを含めて、実際に書く練習をしておかないと本番になかなか対応できないっていうのがあったので、とにかく書いて書いてを繰り返して、その合間にインプットしていくという勉強でした。暗記勝負というのではなく、量をやっていれば自然と覚えられるという形です。継続的な努力ができたのは、始めちゃった以上は逃げられないし、取ってみないことには何も始まらないので、そこに向けて何も妥協はできないという意識があったからだと思います。何があっても続けるっていう覚悟は最初に決める必要がありますね。中途半端に目指すと絶対に通らない試験ですし。最初に、やるならやる、やらないならやらないで違う道があると思うので。
勉強を続ける中で1番苦労したというのは、大学1, 2年生の間は、やっぱり周りの友人は遊んでいて、でも勉強しなきゃいけないというところで、友人と遊ぶことに参加できない、特に遊びっていう面ではかなり犠牲にしたかなと思います。サークルにも参加しなかったので、交友関係もやっぱりどうしても狭まってしまって、ひとりで閉じこもってやることで、精神的に追い詰められたということはありました。最終的には、孤独で勝っていかなきゃいけない試験ですし、そういう職業だと思っていますので、そこは慣れだと思うのですが、慣れるまではかなりしんどかったですね。でも、1年も勉強を続けていれば、まあそういうもんだよなと、なんとなく体に染みついてきて、そんなに苦にならなくなってきて、適度に息抜きをするという術も、なんとなく自分の中で身についていきました。
司法試験の合格発表は、今年はコロナの影響で掲示はなく、法務省のホームページに受験番号が載る形だけだったのですが、予備試験に通った人はほぼ落ちないので、自分の番号を見つけたときは、机に突っ伏してただ溜息が出たという感じです。歓びというよりは「ほっとした」という安堵感の方が大きかったです。大学3年で予備試験に合格(合格率4.04%)して司法試験の受験資格を得て、今回、1回目の受験で合格となりました。現役の学部生としての合格は、2年連続で、明大史上2人目だそうです。
今後の動き
今後は、今、内定を頂いている法律事務所が主に企業をクライアントに持つ事務所で、個人対象の一般民事、たとえば離婚とか交通事故といった身近な例はあまり扱わないので、規模が大きい企業対象のものに非常に興味があります。あとは、勉強を始めるきっかけだった検察の方は、来年度から司法修習という研修が1年間あるんですけど、そちらに行って仕事内容を拝見しないことには、ちょっとなんとも言えないところがあるので、今はその二択かなと思っています。検察官になれるかどうかっていうのは、司法研修所の採用がなければなれないというものなので、実際に来年度研修で仕事内容を見て、自分のやりたいことと合っているかを判断することになります。
法曹界の魅力と求められる資質
目の前に困った方が来られて自分が実際にアプローチをしていくなかで、「人のためになる」というのが一番身近に感じることができる仕事なんじゃないかなあと思います。それは法曹三者で、三者三様、違うと思うんですが、どれも共通して困っている人に対して自分のしたことが形として見えるというのが、魅力として一番大きいと思います。必要な資質は、ひとと話すことに対して物おじしないだとか、あとは、困っている方が相手なので、精神的にきつい仕事だとも思いますので、メンタルの強さ、折れない心というのも、持っていた方がいいのかなと思います。僕自身も、これから鍛錬を積んで、身につけられたらいいなと思います。
高校時代の生活
高校時代は、友だちも少なからずいて、楽しく生活していました。思い出に残っているのは部活動で、野球部は特に忙しかったので、どうやって学習の時間を確保しようかと、日々考えながら生活を送っていました。定期テストの成績もそんなに悪くなかったので、先生方の間では、そんなに悪いイメージはないと思いたいです(笑) より力を入れていたのは勉強か、部活かということで言うと、やっぱり勉強を軸に回っていて、国公立併願の準備のために、高1の冬から大学受験の予備校に通っていて、野球は勉強に支障が出ない程度にがんばっていたというのが正直なところです。理由は簡単で、将来にどっちが直結するかといえば、野球はたまたまメンバーでしたがそこまで上手じゃないと思っていて、高校までと見切りをつけていたので、勉強が中心になっていました。卒業の際に後輩たちからもらう色紙の寄せ書きには、「文武両道」という言葉が飛び交っていて、とてもうれしく思いました。それと、明八の行事、特に、体育祭は楽しかったと記憶しています。自分は少し足が速かったのでリレーの選手に選ばれてヒーロー気分みたいなのを味わえたし、準備期間も含めて楽しかったなと思います。それと、国公立併願もしたのですが、結果としては、明治で良かったと思っています。司法試験合格に向けてのいろいろなサポートがあるし、結局、やるのは自分なので、明治で十分でした。
高校時代の自分に、今、声を掛けるとしたら
難しい質問ですけど、やっぱり、やりたいことを自由にやったらいいんじゃないという感じですかね。僕は今までの人生で、ひとつも後悔してるなっていうことがなくて、まあそういうふうに生きようと思っているので、高校時代の自分に、ああしとけよっていうんじゃなくて、失敗したこともたくさんありますけど、それも今の糧になっていると自覚しているので、楽しいことは楽しんで、勉強もちゃんとやって、ほどほどに生きてくれればいいよねっていう感じで、自由に生きてくれればいいよとなります。正しくなかったことが今正しくなかったとわかっているということは成長していると思うので、勉強方法もそうだし、考え方みたいなことも、決して昔の自分が正しかったとは思わないんですけど、まあ高校生の自分だったしなと思うと、今、納得しているところです。
在校生へのメッセージ
なんとなく3年間を過ごすのはきっと簡単で、定期テストもそこそこやっておけば、そこそこの人生が待っていて、しかも明八の場合は、明治大学っていう高いレベルの大学にもストレートに上がれるので、何となく生きることは可能だと思うんですけど、その中で自分が一つ打ち込むものを何か一つ作ると人生は180度変わるかなと思いますし、それを見つける努力をするだけで毎日が変わってくると思うので、いま何していいのかわからないよっていう生徒さんには、自分の将来のために何ができるのかというのを考えてもらって、その選択肢の一つとして、僕が目指した法曹への道が出てくれば、うれしいと思います。それと、将来に直結するという意味では、英語の勉強をしっかりやっておいた方がいいと思います。今の時代、英語を使わずに仕事をするのは不可能なので。また、若いうちから読書をして、教養を身につけておくのも大事です。教養がないと、相手と話していても、同じ土台に立って考えられないので。中学生、高校生でしか体験できないことがたくさんあると思うので、それを嫌がったり、当たり前だと思ったりしないで、しっかり楽しんで、勉強もしっかりやって、充実した生活を送っていただけたらいいんじゃないかと思います。
毎日、自分を支えてくれた両親に感謝
ほんとに両親の支えがなかったら、今の自分はないと自信を持って言えるんですけど、勉強に集中できる環境を作るって相当に難しいと思うんです。それを何にも文句を言わずにやってくれた。お金を作ることもそうですけど、食事を作ることもそうですし、あとはまあ、勉強している間は邪魔しないとか、送り迎えをしてくれたとか、とにかく、勉強に集中できる環境をすべて整えてくれたという面で、ほんとうに感謝していますね。